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古代史を中心にした漂流記録&覚えておきたい記事、書籍、ニュースなどの備忘録として、あるいは自分の考えの足跡、生活の記録をしています。


by jumgon
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「一絃の琴」

埼玉福祉会というところが出版している、大活字本シリーズ、と云うのが図書館にあって、目が疲れないので読むのが楽なので時々借りている。先日、宮尾登美子氏の「一絃の琴」を借りてくる。
「一弦の琴」に魅せられて、のめりこんだ二人の女性の人生の絡み合いを描いている。
読後感は、「兎に角つかれた!」
梅雨時のうっとおしい天気もあって、蘭子という女性の人生の終焉の姿に打ちのめされ、暗い気持ちになった。
そもそも、「一弦琴」というのは素朴な単純な楽器であるが、それを、「人生をかけて玄妙の境地に到達するまで追求する」という心理はたぶん西洋文化では考えられないことだろう。
フルオーケストラの壮大複雑な音楽より。お寺の鐘の音に、人生の摂理を感じる日本人の感性が生きていた時代の精神生活を描いていると思った。
今の日本人と幕末から明治にかけての日本人の、価値観、道徳はかなり変化してきている、、、、と思う。古き良き時代であると同時に、封建的な身分意識、男尊女卑、形式主義がたまらなく嫌な時代だと感じた。だがその時代に生まれ、その中で可能な限り自分の生き方を追求した女性の力強さには、敬服する。

一絃琴に興味のある方は
http://www.welcome-kochi.jp/information/bunkazai/ichigen.htm
by jumgon | 2010-06-29 12:05 | ★読書・放送・講演会