古代史を中心にした漂流記録&覚えておきたい記事、書籍、ニュースなどの備忘録として、あるいは自分の考えの足跡、生活の記録をしています。


by jumgon
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わが国の鉄の歴史・スズについて

「スズ鉄」について

「スズ鉄」なるものを知ったのは
「ひもろぎ逍遥」というブログで読んだのが初めてだ。
http://lunabura.exblog.jp/i30/

真弓常忠「古代の鉄と神々」によれば
銅鐸が姿を消して弥生時代が終焉し、古墳時代がはじまったのは、スズを採取しての原始的鉄生産から、砂鉄を採取する方法を会得したことによる、と謂われている。その後のいっそう大規模な製鉄技術は、天日槍などの神の名で語られる帰化系の技術者によって飛躍的に増大し、それは畿内では四世紀後半から五世紀初頭にあたる、と思われる。

今回は今まで断片的に述べてきた「スズ」についてまとめてみよう。
*ここでいうスズは(元素記号 Sn)のスズではない。褐鉄鉱を意味しています。
 
「みすずかる」は「信濃(しなの)」にかかる万葉集の枕詞です。「みすず」は「み」+「すず」で,「み」は貴重な鉄の原料である「すず」の美称です。
  「すず」とは、古代より製鉄の原料として、温泉地帯の湿地帯に生える植物(葦や茅,薦等)の根に,ある種の鉄鉱石(褐鉄鉱)が付着した塊をいいます。
この 「すず」は、"たたら"製鉄より古い製鉄方法によって、"たたら"より低い温度(土器を焼くくらいの温度)で精錬された。
特に信州(信濃)などで盛んに行われました。またこれらの「すず」をつける植物群も「すず」といいました。だから「みすず"刈る"」です。
この根は鉄鉱石成分が付着しどんどん成長し、中が空洞になると同時に小さな塊が残り、振ると音がします。これが本来の「すず(鈴)」です。この「すず」は成長するのに、数十年以上の長い時間がかかりました。現代でも、神社などで鈴を鳴らすのは、この「すず」がたくさんとれるように、と祈った名残りです。
また葡萄の房のように、この鉄鉱石の「すず」がたくさん付いた状態を「すずなり(鈴生)」という説があります。

◎日本建国神話中の建御名方神 が諏訪にまで逃げていったのがわかった!
 私はただ遠いところへ逃げた、といい加減に解釈していた。
 信濃、諏訪は「すず」が採れるところだ。

*建御名方神は原始的なスズによる製鉄でなく、「神穴流し」、すなわち砂鉄による初期製鉄を行ったように  思われる記述もある。
日本建国神話中の建御名方神wikiより
建御雷神が大国主に葦原中国の国譲りを迫ると、大国主は息子の事代主が答えると言った。事代主が承諾すると、大国主は次は建御名方神が答えると言った。
建御名方神は建御雷神に力くらべを申し出、建御雷神の手を掴むとその手が氷や剣に変化した。

これを恐れて逃げ出し、科野国の州羽の海まで追いつめられた。建御雷神が建御名方神を殺そうとしたとき、建御名方神は「もうこの地から出ないから殺さないでくれ」と言い、服従した。
なお、この神話は『古事記』にのみ残されており、『日本書紀』での葦原中国平定にあたる部分に彼の名は見えない。

*このスズの例として。高師小僧があります。
http://www.geocities.jp/tyuou59/index2.htmlより

愛知県指定天然記念物の褐鉄鉱(かってっこう)のこと。
豊橋市の高師原(たかしばら)で多産したことからこの名前が付けられています。
愛知県の天然記念物 : 高師小僧
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(豊橋市地下資源館より)
◎色々な形になるらしい。鈴の形のイメージはない。
成分は鉄と土です。
鉄分を多く含む水の葦原ではバクテリア(鉄細菌)が葦の茎に付着して、葦の腐敗にともない有機物を取り込む一方、水中の鉄イオンを酸化することでエネルギーを獲得しその結果の褐鉄鉱が植物の周りに沈積したと考がえかたが有力です。

この高師小僧は、砂鉄等とともに、古代の鉄の生産原料の一つであったと考えられます。
豊橋を中心に、地名を探ると、諏訪とか須賀とか産鉄地名が多く認められます。

鈴なりということばは、この葦などの茎に鉄分がこびりついている様子からきたという説が有力です。

青森県岩木山北麓 巖鬼山神社にこんな鈴があるのを見つけました。
これはスズ鉄ができる様子を表わしたものではないでしょうか。
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青森県岩木山北麓 巖鬼山神社 : 坂上田村麻呂が再建した神社
この地区には鬼神社など鬼にちなんだ神社が結構あります。また鬼伝承も色々有り、鬼が水路を作ってくれた話とか、村娘をお嫁にほしいと言って、刀を10振り作ったら嫁にやるといわれたので一生懸命つくったら、その一振りを隠されてしまい、泣く泣くお嫁にもらうのをあきらめた話などがあります。
もともと、鬼伝承の有るところには産鉄がおこなわれていた気配が濃厚で、鉄をとるという作業は山を伐採し炭をとるので、川の氾濫を招いたりし、稲を作っている人たちとは生活上相容れないようなところがあり、産鉄に携わる人たちを鬼と呼んで、嫌ったり避けたりしたようです。

◎以前に紹介したスズ石(鳴石)も褐鉄鉱です。重複しますが再度記しておきます。
 
北海道名寄市の鈴石
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国指定の天然記念物で、直径3~6cmの球状の石で、
振るとカラカラと鈴の音がするので「鈴石」と呼ばれています。
核となる粘土などに鉄分が殻のように巻き付いてできたと考えられる褐鉄鉱の一種で、内壁の小石が剥離して 中で動き音をだします。
指定地周辺の土中に包蔵される拳ほどの大きさのものが多い。

◎吉野座王像の蔵王権現の胸に飾ってあったアクセサリーには鈴がついていた。わたしはこれが気になっていた。この鈴・スズは「スズ鉄」を表現しているのではないかと思う。
修験道は鉱山と関係があるという説があるのです。

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でもこの蔵王権現が造られたのは天正20年(1592)です。
今ある蔵王権現坐像は役行者が桜に刻んで、山上ケ岳(現:大峯山寺本堂)と山麓の吉野山(現:金峯山寺蔵王堂)に祭祀した蔵王権現の形を踏襲しているのではないかと思います。
◎これは私の個人的な考えで、正しいかどうか分かりません。
■褐鉄鉱から磁鉄鉱へ
葦や薦の水辺の植物の根に「スズ」のなるのを気長く待って鉄を得ていたわけであるが、砂鉄を採取することを知って、鉄器の生産は著しく増大し、ここに弥生時代は終焉し古墳時代となる
古墳時代の文化は鉄器によって作られた。それと共にその頃より帰化系技術者(韓鍛治)の渡来もはじまった。
                                                       つづく
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by jumgon | 2010-12-11 11:38 | ★日本の鉄の歴史