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古代史を中心にした漂流記録&覚えておきたい記事、書籍、ニュースなどの備忘録として、あるいは自分の考えの足跡、生活の記録をしています。


by jumgon
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日本の技術・和裁と手入れ

和裁の、縫い方のバリエーションの多さに感嘆した私だが、
それほど深く知ってるわけでもないが、簡単に紹介する。


縫い方には色々ある。

なみ縫い・合せ縫い(普通、「縫う」と言えばこの方法のこと)
布を中表や外表にして二枚以上重ねて縫い合わせる。
要するに普通の縫い方。

返し縫い
なみ縫いよりも丈夫な縫い方「本返し縫い」と「半返し縫いがあります。

二度縫い
日本の技術・和裁と手入れ_f0215268_13304074.jpg
一度決まった縫いしろを縫い、さらにもう一度耳はしより0.3cm位入ったところを縫って
(空縫い)、縫いしろが開かないようにするこ
とをいいます。背縫いなどに使います。

あと私が最も感心したのは、くけ縫いというものだ。

きものの表面にでている縫い目からは、どこに糸が通ってるのか分かりにくい、縫い方
出来るだけ、表面には縫い目が少なく布の間を、糸が通って、時々、表、裏に縫い目が出るという、技法だ。
一本の糸だけで縫い合わせるから、
糸が引っかかったり擦れたり、ダメージを受けないようにうまく隠してあるのでしょう。

くけ方にはいろいろ種類があるようです。
「折りぐけ」「耳ぐけ」など~。
繁雑になるので詳細はさけますが折りぐけのイラストが見つかったのでお借りしてきました。。

まず、布を折りかぶせる。
日本の技術・和裁と手入れ_f0215268_1322496.jpg

生地の裏から針を出しかぶせた布の中に針をくぐらせる。
日本の技術・和裁と手入れ_f0215268_13232194.jpg

下の生地を掬う
日本の技術・和裁と手入れ_f0215268_13211035.jpg

またかぶせた布の中に針をくぐらせ、下の生地」をすくう[
日本の技術・和裁と手入れ_f0215268_1324318.jpg


◎これだと布表面には糸目が出ません。
 下の生地にも小さな糸目がつくだけです。


次に和服の合理性について書きます。

私の姑は、明治末年生まれ。
彼女が育った京都亀岡の農村地帯では、一家の主婦は家族全員の衣服をワンシーズンごとに作り直す。
そもそも和服は丸洗いはしない。ワンシーズン着たら全部ほどいてから洗い、そして縫いなおす。
◎明治期には石鹸はあったと思うけどそれ以前はどうしていたのだろう?
 なんらかの洗剤として使えるものはあったのだろうか。


http://homepage1.nifty.com/zpe60314/mukashi16.htmより
和服の手入れ法について

洗張り(あらいはり) 
古くからおこなわれてきた和服独特の洗濯方法。着物などの縫糸を仕立てのときと逆の順序でといて、
反物を裁断したときの状態にして洗濯をすることから、「解洗(ときあら)い」ともいう。和服の直線断ち、直線縫いという特徴をもっとも生かした洗濯方法である。

第2次世界大戦前までは、ほとんどの家庭でおこなわれていた。現在では、呉服屋をとおしたり、染物屋に依頼する場合が多い。
関西では、こうした取次商を「悉皆(しっかい)屋」とよんでいる。

利点と特徴
縫糸をといてからあらうため、丸洗いよりも汚れがよくおち、しみなどもとれやすい。とくに紬や絣などの織りの着物は、表と裏の色や柄が同じため、洗張りをおこなった後、
布面の傷みの少ない裏を表にしてぬいなおし、リフレッシュすることができる。
着物の寸法をあらためる場合も、洗張りしてからぬいなおす。
これらの方法によって、着物は母から子へ、子から孫へとうけつがれ、長い歳月にわたって着用されて
きた。
仕上げの方法
洗張りには、素材に応じて、さまざまな仕上げ方法がある。

板張り
一般の家庭でもっとも多くおこなわれていた方法で、下洗いの後、布を平板の上に広げて石鹸水によるブラシ洗いをする。
張板(栃の木製の一枚板)に布海苔(ふのり:海藻でつくった糊(のり))を刷毛(はけ)でひきながら、布裏を板にはる。はりおえたら板を
たてかけて、自然乾燥させる。おもに木綿や化繊など、ぬれてもあまりちぢまない布に適している。
◎海藻から糊が作れるのだ!

伸子(しんし)張り
ときはなした布を、あらかじめ端縫(はぬい:裁断前の反物の形になるようぬいあわせること)してから洗濯をおこなう。
その後、布の両端をひっぱり、伸子(竹の細棒の両端に針のついたもの)を4~5cm間隔で布の両耳にうっていく。布裏全体に布海苔を刷毛でひいて、自然乾燥させる。
縮緬や御召、大島紬など、ぬれるとちぢみやすいものに適している。

◎私は母の伸子(しんし)張りの手伝いをした覚えがある。棒の両端にぶら下がった、布は風にはためいて鯉のぼりみたいだった。
母のよほど気に入った、きものだったのだろう。
母が伸子(しんし)張りをしていたのは一回きりだったと記憶している。


伸子(しんし)張り、に使うしんし棒について、わかりやすい説明がありました。
図と説明を
三重県立博物館のページより、おかりしました。

http://www.bunka.pref.mie.lg.jp/haku/osusume/176harimonoki-shinshibou.htm
日本の技術・和裁と手入れ_f0215268_1163114.jpg

「しんし棒」は、竹ヒゴの両端に2ミリほどの針をつけたものです。これを反物の両耳(側面)に張り渡すことで布を強く張ることができます。竹の弾力を利用した方法です。また、しんし棒1箱は、300本入りが一般的だったようです。反物をおよそ12メートルと考えると、しんし棒は、4センチごとに張られていたことになります。反物の耳から耳へと張り渡されたしんし棒は、その間隔が狭ければ狭いほど布地に均質な張りを与え、縮みを少なくしてくれました。

 
『萬葉集』(巻第七)には次のような歌が収められています。
「橡(つるばみ)の 解き洗ひ衣の 怪しくも ことに着欲しき この夕かも」です。
この中の「解き洗ひ衣」は、まさに着物の洗い張りを示しているといわれています。橡で染められた着物を身に着けていたのは庶民ですから、洗い張りはすでに奈良時代から庶民の生活に溶け込んでいたようです。


◎そんなに古くから~、、、そんなのを実地に知ってる私って、いったい~? 

古くなった着物は、「洗い張り」を経て子どもの着物に作り変えられたり、また最後は“当て布”になったりと使い続けられました。何度も着物を解き、洗い、そしてまた仕立て直すという文化は、古くから代々受け継がれてきた、物を大切にする「エコ」なのです。

◎きものはそもそも
とき洗いして縫いなおすものであるから、ほどくことを前提に縫っている。
それが独特のぬいかたになっていると思う。
絹糸なんかは、特に高価なものだから弱りがなければ再利用された。
和服というのはエコで合理的な衣服なのである。
by jumgon | 2011-01-26 13:46 | ★言語、歴史