古代史を中心にした漂流記録&覚えておきたい記事、書籍、ニュースなどの備忘録として、あるいは自分の考えの足跡、生活の記録をしています。


by jumgon
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杉本苑子 穢土荘厳 を読む

杉本苑子 穢土荘厳

この本は多分10年以上前に読んだことがある。
私の記憶力はいい加減なもので、大まかな時代設定は覚えていたが内容はすっかり忘れていて、全く初めての本を読むのと同じ感覚だった。
丁度、飛鳥・天平の歴史を調べていて少しは知識ができたせいでこの小説をかなり消化することができた。
時代の前後がバラバラの知識がこの小説のおかげで流れの中におけるようになった。

杉本氏の著作は登場人物の性格設定は作者の推察・想像だと思うが、登場する実在人物や年代は正確だ。

おおまかなあらすじを記しておく。

藤原京から平城京に移り、橘美千代・藤原4兄弟・長屋王家滅亡(陰謀?)を経て、光明子を聖武天皇の夫人から皇后へとおしあげた。
さまざまな良心の呵責からか、聖武天皇は恭仁京、紫香楽の宮、難波宮など各地を転々した。
その時期に僧行基に出会い帰依する。
やがて遣唐使の吉備真備・玄昉らの帰国。
藤原四兄弟の疫病死。

世間の反発にやむなく平城京に戻った聖武天皇は世の疲弊を顧みることなく、己の魂の救済求め、大仏造立、国分寺建立を思いつく。
官寺以外にも私の寺院造りを奨励する。
◎多分この頃に葛井寺(藤井寺市)が建立されたと思われる。

聖武天皇は自分の命あるうちにと大仏開眼供養を執り行う。(金が足りないので顔だけ鍍金した状態だった)
聖武天皇後は光明子、孝謙天皇、藤原仲麻呂を中心に政務は進められ、吉備真備は追い払われる形で再度遣唐使として唐に渡ることになる。
大体のあらすじは以上である。

この本の中に登場する、大伴旅人、大伴家持、山上憶良、長屋王など名前だけ知っていた人たちの人生・生活を垣間見れて面白かった。

私にとって新しい知識は「三世一身の法」である。
これは官位の上下で開墾できる面積が決まっており、開墾する財力があるものほど私有地を増やせる。
大仏造立への布施の多寡により官位も与えられた。そして官位が上がればたくさんの私有地を持つことができるというシステムで、末端の民衆にはほとんど恩恵はなかったようだ。

国が大仏造立の資金捻出のため思いついた法のようだ。
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by jumgon | 2011-07-25 12:02 | ★読書・放送・講演会