黄檗山萬福寺の宝蔵院・経典の版木
2011年 08月 01日
高校時代に訪れた京都のお寺で見たことがある。
「こんなのがあるんだ。」と感動したのを覚えている。
高尾の神護寺だったように思えるが何しろ半世紀近く前の話だ。
ネットで調べたけれどどうやら神護寺ではないようだ。
ネットで調べると、宇治の黄檗山萬福寺の宝蔵院に版木が収蔵されているとある。
私が行ったときはお寺の一部屋にあったと記憶しているが、現在の宝蔵院収蔵庫は立派な鉄筋建ての建物だ。
◇宝蔵院と鉄眼一切経
(重要文化財)
黄檗山宝蔵院は、1669年一切経の開版を志した鉄眼禅師が、隠元禅師から黄檗山内に寺地を授かり、藏板・印刷所として建立したものです。
全6,956巻、現在仏教各宗派で使われているお経は、いずれもこの一切経のうちに含まれています。
6万枚の版木は、縦26cm、横82cm、厚さ1.8cmで、3cmの縁がついています。版木材料はすべて吉野桜。版木の書体は明朝体であり、現在広く使われている書体としての明朝体はこれから発したものです。
桜材 26.3cm×86.2cm 延宝6年(1678)完成 国重要文化財
◇鉄眼一切経
原稿用紙の元になったのもこの一切経といわれております。
明朝体と合わせて今日の「図書・印刷」鉄眼禅師が
文化のルーツとされる所以です・・・
◇一切経とは・・・
仏教思想は三蔵に収まります。即ち釈尊が説かれた「経」と戒められた「律」及び釈尊とその弟子が「経・律」を解説した「諭」の3つで、つまり一切経6,956巻をいい、精神面はもとより、天文・人文・医術・薬学・人道など社会全般のあらゆる面を説き明らかにしたもので、仏教百科事典とも言うべきものです。
古来インドで出来た経文は梵文であり、これをまとめて中国語に訳した高僧が玄奘三蔵法師達であり、日本に広めたのが鉄眼禅師です。
◇版木の現在・・・
黄一切経の版木は、現在も完全な形で保存されていて、国の重要文化財にも指定されています。
宝蔵院内では、この版木を用いて現在も経本の印刷(木版印刷)・出版が行われています。
一切経は、初刷より現在まで約2,000部余りが印刷され。国内はもちろん明治時代にはアメリカ、イギリス、ドイツ、タイ、昭和には満州、中国にも搬出され、中華民国中央研究所(台湾)にも納められました。
一度に刷れる数も限られ、湿度と温度をみながら一枚ごと丁寧に刷り上げられています。
◎現在も印刷されてるなんて、大きな遺産ですね!