三輪山の話 ⑤ 狭井神社
2010年 10月 28日
前々回の三輪山の話 ③では、狭井神社(さいじんじゃ)について、さらっと通り過ぎてしまいました。
今日はもう一度おさらいします。
大神神社HPより
狭井神社(さいじんじゃ)
祭神 大神荒魂神(おおみわのあらみたまのかみ)
大物主神(おおものぬしのかみ)
媛蹈鞴五十鈴姫命(ひめたたらいすずひめのみこと)
勢夜多々良姫命(せやたたらひめのみこと)
事代主神(ことしろぬしのかみ)
例祭日4月10日
鎮花祭4月18日
この神社から三輪山の禁足地への登り口があります。
「大和誕生と神々」より
延喜式神名帳の狭井座大神荒魂神社の祭神はアラタマの荒ぶる神です。大神神社の祭神ニギタマと違って、荒ぶるという表現の中味は疫疾の発生そのものを指しています。養老律令の注釈書である令州解(りょうのしゅうげ)に「春の花の花粉が飛び散るとき疫神が分散して癘を行うので、それを鎮めるためにこの祭を始む。ゆえに鎮花という、とあります。大神神社の祈祷殿から市杵島姫神社への道にくすり道と呼ばれているみちがあります。
もしかして花粉症?三輪山は杉が多いから~
古代では皮膚疾患のみが病でありそれ以外は祟りでであると思われていました。その祟り神ミムロが巻き起こす疫病を防止する祭祀が鎮花祭です。
王権が行った疫病対策の最大の施策がこの祭祀なんです。
製薬会社の献灯篭が両脇にならんでいて、薬効があると思われる色々な樹木が植えられています。
スープを作るときに使う月桂樹(ローレル)もありましたよ。
狭井神社の狭井とはやまゆりの古名です。鎮花祭の特殊神饌としてゆりねと忍冬を供える伝統があります。薬用としてのゆり根は漢方薬として多用されており、内臓の働きをよくし、排泄をうながし、強心と強精の効果や、消毒、鎮静、鎮咳、利尿薬として使用されている。
今日では大阪・大和・京都・富山方面の大製薬会社が新薬の数々を献じて薬業の発展を願う祭が鎮花祭です。
下の写真は「山ゆり」です。
鎮花祭でつかう笹ゆりが激減しているので、今は保存活動をされています。境内のあちこちに「ささゆり園」が設けられています。
人間とイノシシの害を防ぐ為、柵をされています。
あれ、「さい」って山ゆりのことじゃなかったの?まあ、イイカ。たしか神社ではささゆり園って立て札があったけど、、、
写真はささゆりです。
勿論いまは咲いてませんでしたけど、、、、。
さて、気になるのでゆり根の歴史を調べました。
ゆりねの歴史中国と日本原産のゆりは古名を佐韋(さい)、三枝(さいぐさ)といい、これは賽の河原のサイと同じ意味で、ゆりの霊力が天上の扉を開くと信じられていました。百合というのは漢名で、鱗片(りんぺん)が幾重にも重なり合っていることからつきました。
古くから薬用として使われ、一部苦みの少ないゆりねは食用にもしていたようです。はじめは自生のものを採取していましたが、17世紀になって栽培されるようになりました。
鬼ゆり
現在では食用として栽培されている95%は苦みの少ない小鬼ゆりで、残りの5%が鬼ゆりや苦みのない山ゆりです。